吊りピース規格表の選び方と寸法

吊りピース規格表の選び方と寸法

建築現場で使用する吊りピースの規格表について詳しく解説します。荷重別の寸法表、板厚基準、溶接注意点まで網羅。現場での適切な選定はできていますか?

吊りピース規格表


吊りピース規格表の重要ポイント

⚖️

荷重別規格の選定


コンドー製品は柱・梁別に選定し、掲載質量は2個使用時の条件で確認

📏

寸法と板厚の基準


製品・用途別の板厚、孔径、外形、溶接条件を照合し、別製品や異なる版の寸法を混ぜない

🔗

シャックル対応規格


シャックルの呼径とピン実径を区別し、採用製品が指定する金具・接続寸法・使用条件を確認



吊りピース規格表の基本構成と荷重分類

吊りピース規格表の基本構成と荷重分類
吊りピースは、鉄骨部材を吊り上げるためのピースです。製品単体の寸法だけでなく、取付位置、母材、溶接、接続金具まで確認します。「3t用」「6t用」といった表示は、使用個数や柱・梁の用途を含む製品条件と一緒に読んでください。
下表はコンドーテック「コンドー吊りピース」の掲載例です。柱・梁の質量は2個使用時の値で、1個当たりの使用荷重ではありません。寸法図の底辺130mm、高さ100mm、孔径φ42mmは共通で、板厚や溶接脚長などが用途・質量によって異なります。

















用途 型番 柱・梁1台の質量(2個使用) 板厚(mm) 溶接脚長(mm) シャックル呼径(mm)
梁用 KK-4 3t以下 9 7 18
梁用 KK-5 6t以下 12 9 26
梁用 KK-6 10t以下 16 12 32
柱用 KK-5 3t以下 12 9 18
柱用 KK-6 6t以下 16 12 26
柱用 受注生産 10t以下 19 14 32

同製品は必ず2ピースを取り付け、梁用はWEB芯上に配置します。カタログのWは柱・梁1台の質量で、柱用は建起しを考慮した条件です。板厚やシャックルだけで選定せず、吊り角度と吊点距離もカタログ図に照合してください。
出典:コンドーテック「コンドー吊りピース」、総合カタログNo.28-4・印刷ページ584。


吊りピース規格表の寸法設計基準と計算方法

吊りピース規格表の寸法設計基準と計算方法
別製品の「栃木式標準吊金具」は、次の寸法・荷重を掲載しています。2枚一組の吊り荷重と、1枚での建入直し荷重を区別してください。コンドー製品とは形状・材質・使用条件が異なるため、同じ質量区分でも寸法を入れ替えられる共通規格表ではありません。













型番 吊り荷重(2枚) 建入直し荷重(1枚) 脚巾/高さ(mm) 板厚/孔径(mm)
T6 6.0t 4.8t 125/90 9/36
T5 5.0t 3.3t 105/80 9/32
T4 4.0t 2.6t 90/65 9/28

強度計算では、質量を2等分するだけで設計完了とはしません。くろがねの比較計算書には、取付部の曲げ・引張・せん断、ピン孔部の支圧・引張・2面せん断、溶接部応力の照査があります。荷重方向、吊り角度、面内・面外の作用、荷重の偏り、取付母材と溶接、指定ピン寸法が計算条件に合うか確認してください。
同計算書は平成22年8月1日付で、一部の孔寸法が2024年パンフレットと異なります。計算書の寸法を現品の寸法表へ転記せず、採用図面と合致する版・適用範囲を供給元に確認します。板厚や孔径の一致だけで計算結果を流用せず、高強度・細径の金具なら安全になるとも判断しません。
出典:くろがね「栃木式標準吊金具・2024年パンフレット」「比較計算書」。


吊りピース規格表におけるシャックル適合性基準

吊りピース規格表におけるシャックル適合性基準
シャックルの呼径は、ピンの実径そのものではありません。規格表の呼径に加え、接続するピン径、口幅、形状、荷重方向と使用条件を確認してください。コンドー製品はJISシャックルの使用を指定していますが、これを全製品共通の条件とは扱いません。JIS規格と採用製品の指定を照合します。
栃木式標準吊金具の使用上の注意では、T6はシャックル呼径28mm・ワイヤ径24mm、T5は24mm・20mm、T4は22mm・18mmを指定し、指定外では所定の性能が出ないとしています。これらは当該型番の条件であり、「6t用は呼径24mm」などの共通基準にはしません。
シャックルの適合確認では、「孔径はピン径+2mm」といった一律の差ではなく、製品図と指定金具を照合します。吊り用クランプを使う場合も、「開口部-1mm」を共通基準とせず、対象部材と把持条件を確認してください。別形式のクランプや船舶用金具を、建築用途へ自動的に流用できるとは扱いません。
指定金具・使用条件の出典:くろがね「栃木式標準吊金具・使用上の注意」。


吊りピース規格表の材質規格と強度基準

吊りピースの材質は製品ごとに確認します。コンドー製品はSS400相当、栃木式標準吊金具はSM490A(JIS G 3106)・板厚9mmを指定しています。両者を一律に「引張強度490N/mm²以上」とせず、材質名だけで使用荷重を決めないでください。
栃木式標準吊金具は、柱・梁の吊り上げでは2枚一組で溶接面の底辺を水平に、建入直しでは底辺を垂直にして使用します。使用上の注意は、溶接有資格者による脚長7mm以上のまわし溶接と、油汚れ・傷・ごみの確認、溶接欠陥の処理を指定しています。この条件は他製品へ流用せず、採用する金具の指定に従ってください。
接合先の鋼材、溶接材料、母材厚さ、取付位置を図面と照合します。別製品の鋼材仕様や材質の変更も、元の使用荷重が維持されると判断せず、供給元と設計担当者に確認してください。
亜鉛めっき工程を予定する場合は、孔・スリット・溶接・仕上げと製品の適合を事前にメーカーへ確認します。スリット付き製品をすべてめっき不適としたり、スリットなしなら無条件で適合するとしたりしないでください。


吊りピース規格表の独自検証と現場適用時の注意点

現場では、採用型番、柱・梁の用途、部材質量と重心、使用個数、取付方向、吊点距離、吊り角度、指定金具、母材と溶接を確認します。規格表の値に合っていても、偏心や面外荷重などが掲載条件と異なる場合は、独自の係数で合格とせず、供給元と設計担当者に照会してください。
鉄骨部材への取付け後は、製品の向き、溶接状態、孔や本体の損傷、金具の適合を施工図・説明書と照合します。寸法表と計算書は版を記録し、異なる製品・年代の数値を混ぜないことが重要です。
コンドーテックの当該製品は繰返し使用不可です。他製品まで一律に再使用禁止とせず、それぞれの説明書に従って使用履歴と使用後の扱いを管理してください。専用治具との組合せも、名称だけで判断せず、型式・メーカー・適合部材を確認します。
製品資料への入口:くろがね「栃木式標準吊金具」。使用時は、採用製品に対応する現行図面・使用上の注意と、適用が確認された計算資料をそろえてください。